ハングルの「平音、激音、濃音」って韓国ではどう呼ぶの?

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ハングルの教科書を見ていると、子音の発音についての用語に遭遇します。

すなわち「平音、激音、濃音」ですが、濃音のことを硬音と言うテキストがあったり、平音を例示音と言うテキストがあったり、教科書ごとにバラバラです。

そこで、一通りの子音発声方法について、現在韓国で使われている用語と共に解説します。

ハングルの子音は発声方法によって三種類に分かれる

外国語を学ぶときは、未知の概念と遭遇することが多々あります。

日本語と近い文法を持つ韓国語といえども、それは例外ではありません。

特に韓国語の文字、ハングルの子音において、日本語との差が顕著に表れています。

日本語の発音は「清音、濁音、半濁音」にわかれていますが、韓国語は次の三種類に分類されます。

  1. 【예사소리(いぇさそり)】平音
  2. 【거센소리(こせんそり)】激音
  3. 【된소리(とぅえんそり)】濃音(硬音)

呼び名は現在(2021年2月)の韓国内呼称に合わせました。韓国語として、仮に正式を求めるのなら上の3種類です。

参考:韓国語文法規範 – 韓国国立国語院

これらを踏まえて、子音記号別に表を作りました。

発音種類 1 2 3 4 5 6 7 8 9
예사소리(いぇさそり)平音



とぅ







ちゅ
ぢゅ
거센소리(こせんそり)激音

トゥ


チュ
된소리(とぅえんそり)

硬音



トゥ


チュ

これら19音がハングルの子音です。

なお、子音については別記事でも触れています。

さて、ハングルは子音と母音を組み合わせて、初めて文字となります。

そこで、上図の発音記号に、便宜上、母音記号「ㅏ(あ)」を足すと、次のような表ができます。

発音種類 1 2 3 4 5 6 7 8 9
예사소리(いぇさそり)平音











ちゃ
ぢゃ
거센소리(こせんそり)激音




チャ
된소리(とぅえんそり)

硬音






チャ

これがハングルにおける「あかさたな」です。

それでは、それぞれの音について簡単に解説しましょう。

【예사소리(いぇさそり)】例示音/平音は基本となる子音

平音











ちゃ
ぢゃ

예사소리(以下、便宜上「平音」と呼びます)は、韓国語発音の基本形です。

後述する派生音と比べて、もっとも日本語に近い発音と理解して差し支えありません。

基本形であるがゆえか、他の音に比べて発音の変化が多いのが特徴です。

ちなみに朝鮮式では【순한소리(すなんそり)】(順音)と呼ぶそうです。

【거센소리(こせんそり)】激音は破裂音のこと

平音











ちゃ
ぢゃ
激音




チャ

거센소리(以下、便宜上「激音」と呼びます)は、言語上、破裂音と称されることがあります。

平音からの派生形なのですが、読んで字のごとく、平音よりも強く発音するのが特徴です。

強くと言ってもどこを強く?とイメージがわかないかと思いますが、たとえるなら、吉本芸人になったような気持ちで「スーン!」「スーン!」「スーン!」と強く言ってのけると、「コ、ト、パ」の部分が、自然と破裂音になります。これが激音です。え?さらにわかりづらい?

さておき「차(ちゃ)하(は)」についても、一見「자(ちゃ)아(あ)」を強めた音とイメージしづらいですが、やはり激音の仲間です。

【된소리(とぅえんそり)】硬音/濃音は喉を詰まらせて発音する

平音











ちゃ
ぢゃ
硬音




チャ

된소리(以下、便宜上「硬音」と呼びます)も激音同様、平音から変化した発音です。

肝心の音については、これまた文面で説明しづらいので、ちょっと想像してみてください。

  1. あなたの目の前に刃物を持った暴漢がいます。
  2. 身構える間もなく、暴漢があなたのお腹に刃物を突き立てました。思わずうめき声ができます。「うっ…!
  3. この「うっ…!」と喉を詰まらせたその状態で「か」と発音してください(ムチャ言うな)。これが硬音の「까(か)」です。

さて、妙なたとえとなりましたが、実際の発音はそこまで壮絶ではありませんので安心してください。慣れれば刺されなくても発音できます。

大事なのは喉を詰まらせた状態で発音することです。覚えておきましょう。

呼び名の正統さは時代と共に変化しているのであまり気にしないこと

ここまで、韓国語における3種類の子音発声について次の通りお伝えしました。

  1. 【예사소리(いぇさそり)】平音
  2. 【거센소리(こせんそり)】激音
  3. 【된소리(とぅえんそり)】濃音(硬音)

お手持ちのテキストなどでは、呼称が異なる可能性がありますが、子音の種類自体は何百年も変わっていません。

そもそも、北朝鮮と韓国の間ですら、呼び方が違うくらいなので、日本語訳の間で異なっているからといって、大した問題ではありません。どのみち、全部覚えないといけないのですから。

正しい呼び名にこだわるのもいいですが、学びの本質は呼称ではありませんので、個人的にはあまり深く考えなくてもいいと考えています。

記事上では、概要だけ説明しましたが、自作テキストでは、子音一つ一つに対して、掘り下げて解説していますので、ぜひご覧になってください。

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